介護ロボット・ICT補助金のなぜ

介護業界に限らず、世の中様々な分野に「補助金」があります。名称は助成金だの交付金だの正確にはいろいろありますが、ここでは便宜上「補助金」として話を進めます。

「補助金」には、政策上好ましい方向に進めるための呼び水という側面があります。よく「政策誘導」などといいます。「燃費のいい車は税金が安くなる」「太陽光パネルの設置代金の一部を補助する」などは環境配慮の政策誘導ですね。

介護業界では、補助金よりも「加算(本体報酬に上乗せする報酬)」が中心です。介護福祉士の配置割合が高い=サービス提供体制強化加算、機能訓練体制のための人員配置~実施=個別機能訓練加算 のように、より質の高い役務提供が行えるように取り組む事業所を加算によって評価します。

さて、見出しに「介護ロボット・ICT補助金のなぜ」と書きましたが、実はこの補助金には私からするととても不思議な仕掛けがあるのです。

この補助金は読んで字のごとくで、介護ロボットやICT(通信環境と通信機器やセンサーなどを組み合わせた技術)を事業所に導入した際の購入額の50%か75%を補助するというものです。当然ながら、50%補助よりも75%補助の方が有利です。

この有利な方の75%を得るために、「人員体制の効率化」を求めるところが「不思議」なところなのです。

ここでいう効率化の中身は、私が探したところ具体的には示されていませんでしたが、「効率化」というからには人員を増やすことの逆だと想像できます。実際、上記補助金は導入すると人員基準が一部緩和(制度の求める必要人員を低くできる)されます。

今まで介護保険制度では、人員配置を手厚くしたり有資格者を一定数配置したりすることを評価してきました。ところがこの補助金は人員を減らすことを評価するのです。このような政策誘導はあまり聞いたことがありません。

人を雇うより機械を買えという「政策誘導」なのでしょうか。少々納得がいきません。

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