介護業界と「派遣さん」

私は常々、派遣業は介護業界に参入できないようにしたほうがよいのではないかと考えています。人材が足りずやむなくお願いしたことはありましたが、基本的には利用しないことにしています。その理由について述べてみましょう。

1.できるだけ長く勤めてもらいたい。

派遣さんとの契約の多くは3か月単位ですが、業務を覚えてもらうことはもちろんひとりひとりの利用者へのケア内容、性格、背景等覚えてもらったらおおむね契約終了となってしまいます。契約更新したとしても常に期限つきとなります。初めから直接雇用の方がよいです。

2.経費が余計にかかる。

派遣料は派遣会社の取り分(手数料)の分だけ確実に経費が余計にかかります。経費が余計にかからない場合を強いていうなら「人材の入れ替わりがかなり多く常時多額の採用広告費がかかっている場合」で、そうした状況の現場にならないようにすることが先決です。

3.一部業務が限られる。

経費が余計にかかっているにも関わらず、送迎業務などを担ってもらえないなど一部業務が限られていることが多く、他の職員とのバランスがとりづらいです。また、派遣さんはあくまで他社の社員なので、会議等に参加できないまたはさせにくいということもあります。

なお、直接雇用であれば送迎業務ができない場合等は時給等を調整して他の職員とバランスをとることもできます。

4.要求通りに派遣されない。

派遣会社に「欠員ができたので〇月〇日ごろまでに一日〇時間、週〇回働ける介護福祉士派遣してください」と依頼しても、要求通りになるのはまれです。条件通りの方は結局見つからないか、数少ない選択肢から求人条件を変えて依頼することになります。最悪誰も派遣してもらえません。派遣会社に豊富な人材がいるわけではないのです。結局直接求人するのと何も変わりません。

5.求職者を派遣会社に奪われる。

もっとも重大なのはこれです。

いまや求人はWeb広告が主流ですが、人材会社は多額の広告費(一介の介護事業所では無理な額)を投じてWeb広告内の有利な場所を確保し、求職者を誘引します。結果として相対的に求職者に見つけてもらうチャンスが減ります。実は、いち事業所の求人活動の最大のライバルは他の事業所ではなく、人材会社というのが実際です。

とはいえ、求職者さんたちからみて派遣の方がよいという場合もあるでしょう。その場合も、実は派遣を選ばないほうがよいかもしれません。これについてはまた改めて述べます。

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