介護職員処遇改善〇〇 の続きです。
なぜ「月額9,000円」とされた制度が「実際はムリ」となるのか。これは、おそらく加算等の計算方法の基準によるものだと思われます。
加算(または補助金)は、事業所の利用実績に上乗せして支払われます。つまり、一つの要素として利用が少なければ少なく、多ければ多くなります。
もう一つの要素は、上乗せされる単価(実際は率)なのですが、おそらくこれは「これくらいの規模のこういった事業所は、何人くらいの介護職員がいるだろう」という算出基準があるのではと思われます。これが少々問題です。
というのは、サービス提供力を上げるために人員を補充すれば、多くの人数で財源を割り算することになるため一人当たりの取り分は少なくなってしまうからです。
どのような算出基準かはわかりませんが、弊社はいままで政策発表どおりに給与改善できたことはありませんので、おそらく法の定める最低基準に近いのではないかと思われます。
最低基準というのはなかなか大変な状態で、おそらく十分な利用者数を受け入れられない状態になる場合も多いのではと思われます。すると、それはそれで加算総額は減ります。
つまり、「月額9,000円」は、「ある人員体制」で「ある利用数を受け入れた」場合に可能になる数字なのですが、実は絵にかいたモチで、果たして「現実的に可能なのか」「できたとしてもかなりキツイ現場になるのではないか」と疑問に思うのです。
それでいて、先に「月額9,000円」と「政策発表」があるのですから、実際その額に届かないと、従業員をがっかりさせることになってしまいます。
完璧な制度設計など難しいことでしょうから仕方ないことだとは思いますが、必ずしも「政策発表」どおりになっているとは限らないということは言えるのではないかと思います。