介護業界と「派遣さん でも述べましたが、事業者側としては直接雇用に対して派遣さんを利用するメリットはあまりありません。

ひとつには「ノウハウが蓄積されない」ことであり、もうひとつには「経費が余計にかかる」ことです。

ただし、経費に関してはある条件下ではかからないこともあり得ます。それは、「常時求人広告をうちつづける必要がある状態であり、派遣を利用すれば求人広告費が浮く」という場合です。

求人広告費の額というのは媒体や掲載規模、掲載期間などにより一概に言えませんが、一定規模を超えて大きくなれば派遣手数料の分を上回っていることはあり得るでしょう。その場合は、派遣を利用したほうが安上がりとなっているかもしれません。

しかしそれは同時に、一定規模以上に欠員状態であるということの証左となります。ひょっとしたら派遣された派遣さんは混乱した現場で仕事をすることを余儀なくされる可能性があります。

そして、もうひとつの特徴としてノウハウが蓄積されないというものがありますが、つまり在籍する非派遣職員（直接雇用の職員）が集中して負担を引き受けることになります。すると、負担がもとでそのうち辞めてしまうかもわかりません。するとまた「欠員」が生まれてしまい…悪循環となってしまう恐れは十分考えられます。

世の中には派遣さんを利用しながらうまくやっている事業者さんもあるとは思います。それでもそれは難しい状況をうまくやっているというわけで、「派遣の方が」直接雇用よりメリットがあるということは少し考えにくいです。

そしてそのデメリットが単に経費面だけで済めば派遣された派遣さんには関係ないことなのかもしれませんが、上で述べたようにそれなりの現場の混乱も予想されます。

そうしたわけで、なるべく派遣さんを利用したくないということと同時に、あまりお勧めできないということになるのです。

それでも「私は派遣の方がいい」という方もみえるでしょう。私は一定条件を満たせば派遣さんという働き方もアリだと思っていますが、それについてはまた改めて述べます。